タイのラグジュアリーホテル「デュシタニ京都」のアートワーク制作および備品選定業務を担当しました。本プロジェクトでは、アートを通じて、タイと日本、それぞれの伝統や文化の融合を生み出すことに取り組みました。
ロビーのメインアートは、タイと日本の文化における重要な素材であるシルクを精錬、染め、干す工程をイメージし、癒しを生み出しつつもダイナミックさを持つ滝を表現しました。また、タイのPhanと日本の五重塔をモチーフに制作した巨大な花器、無垢の吉野檜を材にしてタイの国花の花びらを模した彫刻、国宝を有する妙喜庵書院の屋根材を水の波紋を彷彿とさせる有機的な円環に組み直した壁面オブジェなど、日本の自然素材を生かしながら、両国の文化的象徴を組み合わせた数々の作品を制作しました。
このプロジェクトを通じて、私たちは日本の文化の成り立ちに改めて目を向けました。日本は古くから、中国をはじめとする他国の文化を積極的に取り入れ、独自の価値観と融合させ発展してきた歴史があります。この柔軟性こそが、日本の文化の強みであり、多様な要素を調和させ、新たな価値を創造してきました。今回のアートワーク制作においても、こうした日本文化の伝統的な姿勢を基盤としながら、タイの文化を尊重し、双方の美意識を引き立てる作品づくりを目指しました。
kana 2024 all rights reserved.